2020.12.16 Study

古典のススメ③「方丈記」

古典のススメ③「方丈記」

「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し……」
このフレーズを、誰しも一度は聞いたことがあるでしょう。
そう、鴨長明の有名な「方丈記」に登場する一文です。
中学や高校の古文でもよく取り上げられる方丈記をご紹介します。

方丈記とは

方丈記は鴨長明による鎌倉時代の随筆です。日本中世文学の代表的な随筆とされ、「徒然草」や「枕草子」と並んで「古典日本三大随筆」に数えられています。

どんな物語?

方丈記のテーマはずばり「無常」。
人の世の無常というテーマを、たえず流れゆく川の水や朝顔の儚い露にたとえて、「方丈記」を書き始めました。
その内容もどことなく寂しさを感じさせるものが多く、鴨長明が都に住んでいた時に経験した大災害についての描写が多く記されています。
たとえば、平安京の三分の一が消失した安元三年の大火、竜巻で数多くの家が崩壊した治承四年の辻風、養和二年の大飢饉などが語られ、その経験から、「この世全ては儚い」との結論に達しました。

鴨長明はそんな人の世に嫌気がさし、俗世を逃れて草庵で暮らすようになります。
小さな草庵での暮らし、四季の美しさ、風雅な暮らしぶりなどを丁寧に描写し、俗世に縛られない生活こそ平穏だ、と語る鴨長明。
憂鬱なことが多い今日この頃、方丈記を読めば現代の我々と通じるところも多くあるはずです。

鴨長明の草庵

記事画像

鴨長明にゆかりがあるのは、下鴨神社の摂社である河合神社です。
鴨長明は河合神社の禰宜(ねぎ)長継の次男として生まれました。
河合神社といえば美人祈願の鏡絵馬でも有名ですが、鴨長明が暮らしていた小さな草庵(=方丈庵)が復元されています。
この方丈庵で執筆したことが、「方丈記」の由来となっています。

節々に見える「無常観」

では、ここで改めて方丈記を見ていきましょう。

行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。

訳:川は枯れることなくいつも流れている。そのくせ、水は元の水ではない。淀んだところに浮かぶ水の泡も、あちらで消えたかと思うとこちらにできていたりして、決していつまでもそのままではない

人のいとなみ皆愚かなるなかに、さしも危ふき京中の家を作るとて、宝を費やし、心を悩ますことは、すぐれてあぢきなくぞはべる。

訳:人間のやることは考えてみればみんな愚かなことだが、こんな危ない京の街中に家を建てるといって財産を使い、神経をすり減らすとは、愚かなうちでも特に愚かでつまらない話だと申したい。

日本の古典をよむ(14) 方丈記・徒然草・歎異抄 (日本語) 単行本:小学館

このような言葉からも、鴨長明がどれだけ人の世を無常だと思っていたかが分かります。
どれだけ家を建てても災害ですぐに壊れてしまう――それは、鴨長明自身が大きな災害に何度も遭遇した経験から来ている考えなのでしょう。
災害大国である日本では、昔から数え切れないほどの災害を受け、そのたびに復興がされてきました。
技術が向上した今では再建も機械を使って行いますが、当時の労力は計り知れません。

いかがでしたか?
今回は方丈記についてざっくりとご紹介しました。

鴨長明の考えは、現代の我々もよく理解できるのではないでしょうか。
これをきっかけに、ぜひ一度方丈記をじっくり読んでみてはいかがでしょう

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